そよかぜ便り

些細な日常をお届けします!

2022-01-01から1年間の記事一覧

星春

「じゃあ、号令お願いします」 教師がそう言って、日直が号令をかけると、掃除の準備のために机を動かす音がガタガタと鳴り出した。 教室の窓からは秋の午後のけだるい光が差し込んでいた。 冬の到来を予想させる澄んだ青空。 本当はそこに在るはずなのに、…

ねこみみ

きみのねこみみは ちいさくてかわいいけど ぼくのそれよりも とてもおそろしいうつくしさをもっていた 私が彼女に出会ったのは去年の暮れだったと思う。彼女はただ私の記憶にその残像を残して消えてしまった。 ならば私もその残像をなぞれば良いと思って彼女…

魔女こい活にっき

可愛い すごく可愛いと思ったので、あたしはあなたのことを彼氏以上の存在にしてあげた。 あたしは24にも結婚できそうな彼氏もいないのが嫌だったから恋活をはじめました! マッチングアプリ、相席居酒屋、結婚相談所、街コン…あらゆるものに参加して、遂に…

喪失Ⅱ トワイライト

今日、夫が死んだ。 そんなあたしは異邦人じゃなくって未亡人。 でもあたしはムルソーじゃないから、悲しくって、涙が出た。煙草なんか吸いたくもならない。 まだ、子供もいないし、もう三十二なのに。 夫は良く尽くしてくれた。良き夫だった。 ちゃんと働い…

喪失Ⅰ 夕暮れのささやき

「これで最後ね」 彼はそう言った。 彼の右側の頬と鎖骨とデコルテは、オレンジ色の光に照らされていた。 私は、オレンジ色の天井と彼の半分だけオレンジ色の顔を見上げた。 あ、そうか、最後なんだ。と思った。 最後であることは知っていたはずなのに、何故…

メスガキものがたり

西武新宿線に乗って、高田馬場駅で降りると、そこにはあたしの知らない世界が広がってた。 中学受験とか、イマイチそういうのに身が入らなくて、それよりお金稼いでブランドバッグとか買った方が楽しいような気がして、それでいまあたしはここにいる訳で。 …

ハイスペックと未来の話

ぶっちゃけあたしと結婚するのと、一生独身でいるのってどっちがいいんですか? あたしって使っちゃいけないんだった、失敬 私って多分客観的に見たらそこそこハイスペだと思うんですよ。優しいし、年収も多分そこそこ高いし(初任500万スタートだと思うし)…

ありえんねこみみがふかい

今日は朝起きて、相変わらず1-2時間くらいうだうだしてたら、祖母から電話がかかってきて、お昼を食べにこないかとのことだったので、準備をして祖父母の家に行った。 そこで金とか家柄の話をして、ショートケーキを食べて、ちょっとクソみたいな創作をし…

飴女

11月6日 既に過ぎ去った日時であるが、その日にあった出来事でも書き散らしてみることにする。 まず、朝は怠惰の連続であった。11月も始まったと言うのに、南向きの家の気温は高く、寝苦しく目覚めた。私が生来低血圧であり、朝が弱いということもあるが、目…

水の中で生きる

水生歴10年16月28日 人間が核戦争を経て水中都市で生活するようになってから、10年が経った。インフラは整備されておらず、未だに陸の上で生活を続ける人々もいる。 そんな中(どんな中?)、水の中高校に通うユムシは、テレビをぼんやりとみていた。 ニュー…

寂しいあなたへ

段々秋らしい気候になってまいりましたね。 どのように日々お過ごしですか。 あたしは、なんてことのない平凡な日々を、過去最高スコアに届かないようなスコアの日々を送っています。 ところで、あなたは時々こう思うことはありませんか。 自分の思考が、も…

おとぎ話のおわり

むかしむかし、あるところに、5にんのちゅうがくじゅけんせいのおひめさまたちがいました。 はぐれものの、あたしたち。中学受験の塾が同じあたしたちは最寄り駅のマックで週に一度、塾が始まる前に集まることにしていた。 本当は、いけないことだけど、ここ…

悪女ものがたり

あたしはさながら50年代のお嬢様の様に運転席の死体にしかいない菌を保有したやつの目を手で覆いながら殺すわよ、と言った。 そしたらそいつは驚いてハンドルから手を話してブレーキと間違えてアクセルを踏み込んだ。 その瞬間目の前が真っ白になってとんで…

どこかに行きたい

サハラの夕日を あなたに見せたいさよならを私から決めた別離の旅なのに翼を広げて 火の鳥が行くわ地の果ては 何処までか 答えてはくれないの砂も風も乱れて 逢いたいあなた愉しすぎた笑顔が Ah 月よりまぶしいこれも愛なの? 星屑 私を抱きしめていてねアナ…

ファーブル就活体験記 

陽キャもすなる就活体験記というものを陰キャもしてみむとてするなり OUTLINE ・実績 ・大まかなスケジュール ・詳細なスケジュール ・選考対策 ・アドバイス 実績 内定 6社 メガバン 素材メーカー インフラ×2 コンサル 年収二千万御社 就活していた時期 (2…

asuuになりたい

届かないだろうけど、見てないだろうけど asuuになりたいです 見た目とか、ステータスじゃなくて 連絡が全く来なくて辛いって質問に、全然連絡寄越さない相手にはその程度なんだって思って1mmも興味なくなるって書いてあって 羨ましいってなった 私は日頃か…

ex

猫の伸びすぎた爪のせいで、猫が恐ろしい存在になっている。 人間は無理に変わる必要はないと考える。 その時だけの良さもあるし、その時のその人が好きってこともある 忘れたとか成長とかそういう言い訳を聞くくらいなら自分だけ過去にいて 勝手に過去にし…

波浪注意報

ハロー(2013)/SMAP 作詞作曲:尾崎世界観 おはようもおやすみもただいまもおかえりも そこにある君との暮らし僕の手を握ってる小さな手はこれからも 僕のこの手を握ってる? 時々思うんだ この世界が夜に飲みこまれてしまう事とかドキドキ想うんだ とか韻踏ん…

日記

あれは確か、私が小学3年生の頃でした。あれは確かから始まる文章は野暮でしょうか。 クラスで、博物館だが、アミューズメントパークのような所にいったときです。 あまり覚えてはいませんが、薄暗い室内照明に、時々、ガラスの展示物から青い光が床に落ちて…

ポエトリー・アナリティクス

画像が貼れない きみにおねがい!セキュリティの もしも胸の中 ポッカリ穴が空くような そんな病があったとして あるとき ソイツに 真っ白にされたらどうしよう その前に 君の真っ白で包んで! の部分って 前半部分って恋的なsomethingだと思うんですが(誤…

暇じゃないけど

いい感じのとこから内定出たのに後悔するかもしれないという理由で就活をしております 頑張るぞい で、いま人狼ジャッジメントをしてます。なんかいちいち書くのはめんどいけどむかつくやつ多すぎ… なんか沼っぽいから吊るみたいなの気持ち悪いなあ あたしよ…

色んな人生

どんなときでも どんな顔でも すごく柔らかく触れていて ふわふわふるる 震えるくちびる 時々わたしが揺れるとき 色んな人生がありますね。物申してもよいでしょうか。 私が一番うさん臭くて嫌いなのはのみさーとかやりさーではないんですよ。「音楽・ダンス…

久しぶりのお便り

皆さん、お久しぶりです。如何お過ごしでしょうか。 私はと言いますと、小旅行で、埼玉県春日部市に来ております。 皆さんは、来たことがありますか? 私は、初めてです。 春日部駅に降り立った時、あれは西口だったかしら、閑散とした駅前ロータリーの様子…

将来像、そしてラメラ、それはわたしたちについて

Q. あなたのなっていたい将来像はなんですか 私は、ショートカットで適当で丁寧な暮らしをする人になりたいです。 地味なユニクロのジャケットと、無印良品のおやつ。 こまねこの世界。 (参考写真) 雨の休日に暖かいココアを作って、NHKの午後の地味な番組…

改革的ハートグラフィー

fallin you まっすぐな想いは only you コントロールできず ときには壁にもぶつかるから ボクは もっと近づきたい キミに だけど近づけない 何度も 何度も 行ったり来たり キミにホントに伝えたい言葉はジョークでも please 言えないくらい please 大切だか…

連続テレビ小説 ゆうぐも(18)

車は日本の中心から少し西側の地域に入った。夕子が幼少期から過ごした街であった。夕子はぼんやりと流れる景色を見ながら、ここがすでに自分のモノではないことを感慨深く実感した。 母は夕子が「計画」のために毎日疲労していることを知った。しかし彼女は…

連続テレビ小説 ゆうぐも(17)

乙女を迎え入れる瀟洒な校門も、今や大砲を構えた城壁のようにしか夕子の目には映らなかった。しかし夕子も怯んでばかりいられず、キッと前を見据えて歩き出した。時刻は6時30分、彼女は誰よりも早く学校に着いていた。夕子は誰もいない校舎に向かった。体操…

連続テレビ小説 ゆうぐも(16)

もっとも嫌いな太陽の角度の中で、 体中が冷や汗に包まれる。 夕子は、視線の中に立って居た。 それは彼女の欲していた憧憬や羨望の眼差しではない。 恥さらしに向ける、哀れみ、怒り、そして、拒絶の眼差しであった。 夕子は合唱部にもダンス部にも入部届を…

連続テレビ小説 ゆうぐも(15)

学園祭も間近に迫ると、部活動において夕子は傍観者となった。彼女は夜の気配を背中に感じながら、合唱部の練習を座ってみていた。 「入部届けはいつ出すの?」 色んな人に言われるこのセリフに嫌気がさし、夕子は書類を持ってきていた。それは小さく折りたた…

フルハウスのジェシーおいたんの口癖「have mercy!」

ガラスの靴割って 悲劇のヒロインを気取ってみたの 雨水の中歩くたび 混じり合ってく血液 きっとはじめから 「そうだよ」 「無理だよ…」 言い聞かせてても 願がったんだ ああやめとけば良かったな 手遅れだ だから 恋してなんて言わないの 愛してなんて言わ…