白桃のような白い臀の肉が揺れている。
肉の下に控える腿は同様に左右に揺れる。
更に下に視線を下げると引き締まった脹ら脛が床へと伸びている。
床の上には素足が、歪な形の指が放り出されている。
爪は異様に白かった。
封の空いた衝撃で、女が体を前に倒す。
シンクの冷たい金具が当たり、裸の腹の肉が痙攣する。
女はそれを取り出し、左手に乗せた。
ブッラータ・チーズ。
手に乗ったそれは、女の白い乳房とよく似ていた。
また、右手でそれを摘むと、女に官能の記憶と結びつくものを無意識下に連想させた。
無意識の記憶からか、女は物欲しそうにその肉厚的な唇を開き、赤い舌を出した。
口元の黒子が縦に伸びた。
女の唇はまるで口付けをするように、それに吸い付いた。
ひんやりとした感触。女は白い歯を白いそれに立てた。
次の瞬間、女は立てた歯に衝撃を感じた。
女は男の死体を思い浮かべた。
それは絶命するように、白い流動体を吹き出した。それはラオコーン像だった。
白い流動体は、女の掌を伝って、乳房に、腹に、股座に流れた。
其れを舐めとる者はいなかった。
女は口内に滑り込んだチーズの冷たさを感じ、しばらくしてその酸味を感じた。
そして女は自分の肉体に零れたチーズを見た。胸の、腹の液体を指で掬って舐めとった。
股座に零れたものは、そのままにして寝室に向かった。
横たわる男の頸にはナイフが突き刺さっていた。
突き刺さっている所から、吹き出した鮮血がどくどくと流れ続けていた。
男女は布団の上に、裸で寝転んでいた。
女の肉体は白く、白いものが流れていた。
男の肉体は、朱く、朱いものが流れていた。
女は男の頸から流れる血を掬いとって舐めた。身体中の血を舐め尽くした。
そして、自身の股ぐらに残った白い塊を、ぼんやりと開いた男の口の中に押し込んだ。
そして女は男の頚筋のナイフを引き抜くと、自身の胸元にそれを当てた。
そして腕に力を入れる。
女の乳房はまるでチーズのようだった。
しかし吹き出すものは、男と同じ、熱い、熱い血液だった。
暗い部屋には、朱い男と、朱い女が横たわっていた。
ブッラータ食べたいけど1個600円とか勿体なさすぎて無理😭