1人でパリの街を歩いていると、どうしようも無い気持ちになるんだ。
あの頃、君と一緒に来た時のことばかり思い出すんだ。
パリはいつも曇っていて、どんよりしていて嫌だっただろう。
君の近況をニックから聞いたよ。結婚したらしいじゃないか。
そうだ、それを伝えたかっただけなんだ。
おめでとう。
僕の娘は4歳になったよ。遊び盛りで、いつもゼルダは困りきってるさ。
忘れ物のことばかり気にしていないでって、そうやって君が言う姿が想像できるよ。
もしかしたら、君とパリなんて、来たこともなかったかもしれないな。
ああ、もしかしたら、今僕はパリになんて居ないかもしれない。
僕は、フィッツジェラルドかもしれないし、あるいはそうでないかもしれない。
だからなんだっていうんだ。
真実なんていつも1割で十分だよ。