そよかぜ便り

些細な日常をお届けします!

ジョーカー

笑いは威嚇から生まれたというセリフがあったのは野島伸司人間失格だったかと思う

私が今住んでいるマンスリーマンションの外は歓楽街で、深夜まで人の騒ぎ声が聞こえてくる

次の日の朝も早いから非常に傍迷惑な話だが、その中でも最も忌むべき騒音は笑い声である

笑い声になる途端ボリュームが上がるのもあるが何より笑い声であることが不愉快なのだ

笑いとはその輪に居ない者を跳ね除ける力がある

笑いと言えば思い出す映画がある

ホアキン・フェニックス主演の『ジョーカー』だ

2019年10月 大学が休校になったのをいい事に当時の恋人と見に行った

私は大学に入ってまず今まで私を見くびっていたやつを悉く蹴散らしてやるという思いでダンスや音楽をやっていた

そして悉く失敗するわけだが

大学に入ったばかりの頃はたまたまネットで知り合った中学の部活の先輩の家に通っていたがその関係も次第に破綻して大学のクソつまらない授業とサークルのクソつまらないノリに辟易しつつもそれに順応しなければいけないストレスで遊び方を覚えたりお酒を飲んでばかりいたせいで夏休みには口の中が口内炎だらけになり数えたら24個も出来ていたが

たまたま適当なノリで遊ぶことになった人と東京タワー近くの公園で触れ合っていた人から口内炎について言及された時にその限界は訪れてついでにダンスサークルとバンドサークルと地域猫サークルの合宿を一日のゆとりもなくハシゴしたあたりで腰をやってしまい、いい加減定住する場所を見つけるべきという結論に達した

当然私が結論に達する時は母の介入があるわけだが

そして母が私のフォロワー欄から適当に見繕った優しそうな男に会う約束を取り付けて会うことになったがここまで私は何も手を加えていない

その人との生活は優しく献身的なものだったが所謂接触はほとんど無かった 理由は未だに分からない

年上なのに年上のお姉さんによしよししてほしいと思うタイプの人だった

私には包容力はないので辛い時代を過ごさせてしまったと思う

でも私もその時期は地獄だったのだ

私が地獄から抜け出せたのはいつかと言われると

今でしかない

こうして悪夢のパズルのピースを集めて完成させようとしているが

最後のピースになるその時になっても希望のピースは出てこないだろう

なぜなら私は高校3年生でフジファブリックの「虹」を聴きながら涙を流して『殺人鬼 戦慄の名言集』を読んでいたあのIRLの初夏の午後からずっと地獄の中にいるからだ

それはさておき当時のいきなり恋人を通り越して配偶者を得てしまった気分で安心しきっていた

「え、めちゃくちゃ可愛いじゃないですか」

と最初に会った時に言われたというそれだけが理由で付き合ってしまった

今の私からすると付き合っていた時間の実感などはほとんど無い

ダンスサークルの練習は学祭を間近に忙しくなりほとんど会うこともなくなった

ただネット上で話すだけで十分だった

というより、そんなことに構ってる暇はなかった

つまり練習に夢中になって3ヶ月ほどそういったことがなかったしそういったことに興味もわかなかった

そんな中大学が休講になった

どんな流れかは忘れたが私は彼と流山おおたかの森SCまでわざわざ出向いて映画を見ることになった

ついでのように最寄り駅にも行った訳だがこれといって面白いことは起きなかった

そこで見たのが『ジョーカー』だ

発作のように笑い自分を守ろうとするホアキン・フェニックス演じるアーサーの姿を見て早くジョーカーになれと心の中で思っていた

それだけにアーサーが半分ピエロの化粧をした状態で二人の男を銃殺したシーンではポップコーンを丸呑みしそうになる勢いで気分が高揚した

それ以外にも『タクシードライバー』や『キングオブコメディ』の要素が散りばめられていたことにも、ロバート・デ・ニーロが出演していたことにも喜びを感じた

とはいえ

映画を見終わった彼の感想を聞くことは無かった

私は1人でひとしきり感想を喋ったことだろう

思い出すだけで、笑えてくる